DESの使い方は慎重に

DESはDebt Equity Swapの略で、会社の債務を株式に転換することだが、
この使い方には注意がいる。

どんなときのためにDESを使うかと言うと
まず、(1)財務内容をよく見せたいとき
そして、(2)オーナー社長から会社への貸付金が大きいとき、貸付金を株式にすることで
個人の相続財産を減らし、事業承継者である相続人に承継させやすくするため
(もちろん株式の評価額や持ち株の譲渡などは事前に対策するとして)
の2つが多いと思う。

日本経営合理化協会のコラムに詳しく書いたので掲載されたらそちらをお読みいただきたいのだが、
前記(1)のケースが下記の図のBのB/Sで使われ、
(2)のケースがA、Bどちらでも使われる。もっともAのB/Sでは大幅な債務超過、大きな繰越損失をかかえている
ことが考えられるため誰も事業承継者にならず、オーナー社長の死亡時に相続放棄という可能性が大きいので
やはりBのB/Sでのみ使われると考えたほうがよい。

仮にAのB/SでDESを使うとすれば、オーナー社長の個人財産が何十億円であり、相続を見越した場合だが、
そんな例ではとっくにこの会社を清算しているはずなのでAのケースというのは考えずらい。

ところで、DESの使い方にはなぜ注意が必要かと言うと
DESによる債務免除益 → 税負担が発生するケースがあるからだ。

2016年にある会社でDESを考えた際、この税負担がネックになり
単純な増資 → 返済充当
したことがある。

オーナー社長から会社への貸付金1億円をDESで資本にしたとして、
そのうちの8,000万円が会社の資産や利益では回収できないものとされた場合、
会社にはその金額での債務免除益が生まれることとなり、繰越控除される欠損金および今期損失額がそれ以下なら
DESによる税負担が発生することになるのです。

それゆえにDESの扱いは税理士と相談のうえ慎重に扱うことが必要です。

根抵当権設定、既存根抵当権極度増額で無剰余にすれば不動産は守れるのか?

根抵当権設定、既存根抵当権極度増額で無剰余にすれば不動産は守れるのか?

今でもこんな質問をされることがある。
答えは「守れるときもあれば、守れないときもある」になる。

役所などの差押の場合、先順位の債権額がいくらかなどおかまいなしに差押をしてくる。
実際、このケースはきわめて多い。

「無益な差押え」は禁じれれているが、実務上は高松高裁の判決を理由に
比較的かんたんに差押えられてしまう。

もちろん無剰余であるため役所側は競売にはもちこまないが、役所の差押(多くは税金の滞納によるもの)を理由に
先順位の債権者が競売にしてしまう。

これを回避するためには先順位の債権者との交渉と、合意の上での債務の履行が必要となる。
先順位の債権者である銀行などは経済合理性で動くからここであきらめないほうがいい。

ただし、役所の差押も救済制度はあるものの機能しておらず、
早めに手立てをうったほうがいいことになる。

詳しくは日本経営合理化協会のホームページ「第66話 所有不動産に仮差押・差押をされたら…(3)」
に書いたことがあるので参考願いたい。

㈱てるみくらぶに見る粉飾決算について

㈱てるみくらぶ社長らが、虚偽の書類を銀行に提出し融資金約2億円をだまし取ったとして詐欺などの疑いで逮捕されたそうだが、
銀行にいたときに粉飾決算をしている企業などいくつも見てきたが、刑事罰に問われる会社もあれば、
見過ごされずおとがめなしの会社もある。

では、この違いとはいったい何なのかということについて書いてみよう。

㈱てるみくらぶは㈱てるみくらぶホールディングスの100%子会社でHDに対して配当をしていたそうだ。
Wikipedia
によると、、2016年9月期決算においても、売上高117億7300万円、営業損失61億100万円、経常損失61億3000万円、純損失61億5600万円、143億2600万円の債務超過のところを、売上高194億8100万円、営業利益1億1800万円、経常利益8800万円、純利益4800万円、4憶6000万円の資産超過と偽っていたことや、2014年9月期から債務超過に陥っていたことを明らかにした(以上 wikipediaより参照
という状況で銀行から2億円あまりの融資を受けたことで詐欺に問われたらしい。

実際のところ、破産の過程で粉飾決算を公言すれば、相手から証拠を出してきた手前、詐欺で訴訟さざるをえなくなると思う。

詐欺といっても、刑法上の詐欺(1)と破産方上のもの(2)があるが、
破産などで粉飾の事実が明らかになり、それを知りながら債務者が銀行融資を受けていた場合などは
銀行から訴訟を起こされる可能性は高くなる。もっともこの状況でも
銀行側が全額回収していれば話は別だが。

では、粉飾決算をしていても訴訟や詐欺に問われないケースとは
どんな場合かと言うと、
債務者側が粉飾の事実を認めない場合、公言しない場合がある。
銀行も財務データの分析から粉飾の疑いをあぶりだすことはできても、
粉飾と確定することは出来ないのだ。
融通手形も同様だが、事実を債務者が認めないことがあげられる。

そして、法的な枠組みの中での破たん、たとえば破産・民事再生など
をしないことが粉飾の事実を隠すことになる。

世の中には、破たんしても何億円、何十億円の資産をもっている人もいる。
不公平なようだがずる賢い人間は生き残っていくものなのだ。

(1)(詐欺)
刑法第二四六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
2、前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第十四章 罰則

(2)
(詐欺破産罪)

第二百六十五条 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。

一 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為

二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為

三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為

四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為

2 前項に規定するもののほか、債務者について破産手続開始の決定がされ、又は保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者を害する目的で、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。

税や社会保険の滞納で自治体等はどのように差押さえる資産を探すのか?(不動産)

会社、またはその経営者の場合、複数の不動産を持つ例は多い。
会社が所有する不動産の場合、事業に必要な不動産であることがほとんどで詳細は決算書で判明する。
ところが会社経営者個人がどんな不動産を所有しているかはわからない場合がある。

たとえば会社の融資はA銀行のみでおこない、社長の自宅以外の不動産を購入するときはB信用金庫にした場合など
A銀行からすれば、その社長所有不動産はみすごされることになる。
もっとも、個人信用情報を取得したり、その不動産が収益不動産で社長がアパート経営をしている場合などは
個人の確定申告から判明してしまうことになる。

また、銀行でいえば最初に融資を行うときに作る調書の聞き取りの中で個人所有不動産を記載してあり、そこで判明する場合もある。

では、自治体等は税金の滞納による差押不動産を探すときにどんなやりかたをするのか?

一般的には、市町村であれば自治体内部・役所内部でもっている情報から着手する
同じ市内に不動産を複数持っているかは、固定資産税を調べればわかる。
そして不動産登記簿謄本を取得することになる。
このさいに共同担保目録付で謄本を取得する。
下記申請書の赤囲みの部分をチェックするのだ。

同一債権の担保として、複数不動産の上に設定された抵当権(あるいは根抵当権)
のことを共同担保というが、これは担保強化につながる点から
このような共同担保で担保設定されることが一般的なのだ。

そうやって取得した不動産登記簿謄本から銀行には
どの不動産とどの不動産が共同担保になっているかがわかるようになっている。
下記の不動産担保目録のように、同じ住所の土地・建物はもちろんのこと、異なる住所の不動産も
共同担保としてその所在が判明してしまう。

だからといって所有者が同じとはかぎらないが、少なくとも共同担保目録に記載された
不動産登記簿謄本を調べれば、関連でどんな不動産があり、
同一所有者の不動産はどれとどれかなどが、数珠繋ぎに判明することになる。
借入金・リース契約の場合、社長の個人保証が前提となるため
この共同担保目録取得は効果的な隠れ財産のあぶり出し方法になる。

もしも、経営者個人の財産を銀行や自治体、債権者に隠しておきたければ
別会社を作りその会社の所有で不動産をまったく異なる銀行ローンで購入したり、
所有者を妻名義にしたりということになる。

会社が倒産したときに、代表者の個人信用情報照会を取得しない
銀行も多いし、自治体はそれさえ取得できないから、
会社が破たんしてもそうやって個人財産は守られているケースも多いのだ。

税や社会保険の滞納で自治体等はどのように差押さえる資産を探すのか?

まず、税金や社会保険料が納期限までに納付されない場合、国であれ自治体であれ
管轄する役所は督促を行い、交渉し、財産調査を行い差押を行うこととなる。

根拠条文は下記ですが、
増加する税金滞納の状況と徴収担当人員の減少から
督促状が届いて10日後に差押があったなんていう規定どうりの話は聞いた事がない。
市役所などだと、徴収担当者が一人で数百件の滞納案件をかかえ、さらに新規が発生して
財産調査もままならないのが実情だから、督促状、交渉のあいまをみて
財産がどこにあるのかを確認する。

_______

(差押の要件)
国税徴収法第四十七条  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、
当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)
の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
参照元条文

(市町村民税に係る滞納処分)
地方税法第三百三十一条  市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、
滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
参照元条文
_______

では、具体的に滞納者の財産調査はどのように行われているのか、
書いてみたい。

まず、国税が滞納した場合の滞納者の財産調査は
2001年に国税庁に導入されたKSKシステムによる情報(たれこみされた情報まで管理されている)や
各国税局でもっている情報などかなり膨大な情報が税務署内にすでにあり、本気になれば高い精度で情報が把握されているので、
また、別の機会に書くことにして、
今回は市町村などの自治体の財産調査についてに限定する。

市町村などの自治体が税金滞納者への対応は督促、話し合いがまず第一歩となる。
そして、らちがあかない場合に始めて財産調査、差押と進むことになる。

では、その財産調査において市町村の徴収担当者はどのようなことを行うかだが、
まず、市役所なら市役所内にある情報から手をつけることになる。
それと同時に近隣の銀行支店へ文書で照会書をだし、滞納者の預金の状況を確認することとなる。

つまり、財産調査といっても不動産と預金が中心になることは理解できるだろう。

たとえば、固定資産税が滞納すれば、その不動産があることがわかり、それを即差押することになる。
不動産に銀行の根抵当権が目一杯ついていて借入金がそれと同じくらいあるから
その不動産を売却しても滞納した税金の回収にはまわらない、いわゆる「無益な差押であり、それは禁止されている」と言っても
平成11年7月19日高松高裁判決があるので通用しない(詳細は別ページに記載

さらに徴収担当者は不動産登記簿謄本を取得し、共同担保目録から、それとは別の所有不動産をわりだし、さらに差押えることになる。
一般的に銀行は融資先が担保不足の場合、複数不動産に共同担保を設定するので、共同担保目録を見れば所有不動産が判明するのだ。

差押えた不動産が換価され配当がなくても、滞納者にプレッシャーを与える意味で、あるいは交渉の場につかせ支払をさせる意味で
これは重要になる。

預金調査だが、銀行から回答が来た回答書をもとに狙いをつけていくことになる。
もっとも、滞納者が法人であれば、決算書の預貯金等の内訳書からかんたんにどこに預金があるかわかるので
作業は難しくはない。

そして徴収担当者は、銀行に出向き滞納者の預金の動きをじかに見て
差押日を判断することになる。

徴収担当者が調査をするべき根拠条文は国税徴収法141条、142条にあり
それを根拠にすべきという地方税法の規定によって決められている。

これらの預金で当座預金を差押るときは徴収担当者のレベルによっては
いくつか注意を要している。
支払手形の決済日の手形交換時間後に差押をする銀行支店に徴収担当者が到着しても
預金が決済後なのでもぬけのからになっていることがあるからだ。

また逆に、手形決済資金を差押えることで手形不渡、銀行取引停止処分などになりかねず、
滞納金の回収どころか、その会社をいっきに倒産させることになりかねないからだ。

ここらへんの判断は徴収担当者にとっては難しい。

ちなみに徴収担当者がネットをとうして銀行の預金調査を依頼し、ネットをとうして
回答。差押を行うという銀行もでてきている。

差押をうけても、企業はすぐに死ぬわけではない。
じっさいにそれでも平然と事業を続けている企業もある。
いろいろな回避策もあるがここで書くべきものではないし、
抜本的な解決にはならない。

ただ、彼ら徴収担当者も仕事であり
税金を払うのは国民の義務なのだ。
それゆえに、督促を受ける前にこちらから分納についての相談をしたほうのが得策だと思う。

__________

国税徴収法
(質問及び検査)

第百四十一条  
徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、
又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては
認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)
の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
一  滞納者

二  滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者

三  滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者

四  滞納者が株主又は出資者である法人

(捜索の権限及び方法)

第百四十二条  徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。

2  徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、
第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
一  滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。

二  滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。

3  徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、
又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

参照元条文

_______

余力のない不動産と、地方税滞納による自治体の差押の実際

あきらかに余力のない不動産を差押えることは、建前上は禁止されている。
これは「無益な差押えの禁止」と言われ 国税徴収法第48条第2項に規定がある。
 (参照:国税庁 第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止)

ところが、じっさいには国税も地方税も滞納の理由で
不動産差押をしてくる。

これを違法ではないとする根拠は平成11年7月19日高松高等裁判所の判決とされている。

じっさい、これらの税金滞納による所有不動産の差押にたいして、
「あきらかに余力がないのだから「無益な差押え」に該当し違法だ」と、
不動産鑑定士の不動産鑑定評価書、担保設定された対応借入金の残高証明書を
そえて異議を申し立てをしても、1ヶ月もすれば却下の書面が届く。

参考までにどんな文面でくるのか、じっさいの書面を明示しておくと下記となる。

「あきらかに余力のない不動産とみなされないので、差押がはいるのでは?」
という質問がたまにあるが、そんなことはなくて、下記のような不動産でも税金滞納による差押は行われている。
最近の例では、時価4,000万円の不動産に銀行の根抵当権が4億円ついていて、借入が2億円ある物件でも固定資産税等の滞納による差押がきていた例もある。

自治体の徴税担当者にしてみれば、地方税法373条1項 の規定により差押を
しなければならないだけの話なのだ。
ちなみに国税についても同様の規定が国税徴収法47条1項にある。
つまり、
「滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき」
地方税法373条1項 には差押さえをしなければいけないわけだ。

もっとも、じっさいにはそんなに早く差押がされるわけではなく、ある程度の時間が経過してから差押となる。

余力のない不動産が差押られると任意売買はほぼ不可能となり、
上図でいうと、先順位のC銀行による競売でしか売却ができなくなる。

ここで、「差押解除をすれば任意売却ができるのではないか?」と思う方もいると思うが
これは実際にはすごく難しいことなのだ。

くわしくは日本経営合理化協会WEBコラム「あなたの会社と資産を守る一手」 などに記載

以下
http://law.e-gov.go.jp/
より抜粋

____________________________

地方税法373条  
固定資産税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該固定資産税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

____________________________

(差押の要件)

国税徴収法47条  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。

3  第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。

____________________________

(超過差押及び無益な差押の禁止)

国税徴収法第48条  
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。

2  差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

____________________________

他社の滞納した税を払わせられる「第二次納税義務」の改正

28年度税制改正で、事業譲渡した特殊関係者の納税義務について
改正があったので、企業再生に関係があり、記載しておこうと思う。
この納税義務は「第二次納税義務」と言われ国税徴収法38条が根拠条文となるが、
問題点は38条の中にある国税徴収法施行令13条1項(納税者の特殊関係者の範囲)
にある。

なお、このことについては日本経営合理化協会の私のコラム
 「あなたの会社と資産を守る一手」   に
掘り下げて書いたので、いずれアップされるものと思う。
それから、宣伝ついでに書くと幻冬舎オンラインで私が昔書いた本の一部が掲載されるらしい。

では、本題
まずは国税徴収法施行令条文から

(納税者の特殊関係者の範囲)
国税徴収法施行令第十三条  法第三十八条 本文(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
に規定する生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  納税者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次条第二項第一号において同じ。)
その他の親族で、納税者と生計を一にし、又は納税者から受ける金銭その他の財産により生計を維持しているもの

二  前号に掲げる者以外の納税者の使用人その他の個人で、納税者から受ける特別の金銭その他の財産により生計を維持しているもの

三  納税者に特別の金銭その他の財産を提供してその生計を維持させている個人(第一号に掲げる者を除く。)

四  納税者が法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)第六十七条第二項 (特定同族会社の特別税率)
に規定する会社に該当する会社(以下この項において「被支配会社」という。)である場合には、
その判定の基礎となつた株主又は社員である個人及びその者と前三号のいずれかに該当する関係がある個人

五  納税者を判定の基礎として被支配会社に該当する会社

六  納税者が被支配会社である場合において、その判定の基礎となつた株主又は社員
(これらの者と第一号から第三号までに該当する関係がある個人及びこれらの者を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社を含む。)
の全部又は一部を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社

2  法第三十八条 の規定を適用する場合において、前項各号に掲げる者であるかどうかの判定は、納税者がその事業を譲渡した時の現況による。

以上 参照元 http://law.e-gov.go.jp/

細かく書くとやたら難しい話になってしまうので
かんたんに書きます。

経営する会社が破たんして、税金が滞納した場合、第二会社を作って元の会社をもぬけの殻にすることは
よくあること。
ところがそんなことをされると税務署や自治体は旧会社の滞納した税金は徴収できなくなってしまうので、新会社にも旧会社の
納税義務を引き継がせようというのがこの「第二次納税義務」

そんなことをされたら、第二会社を作った意味合いがなくなると思い、あせった方も
いるのではないでしょうか。

でも、少しは安心してください。
「第二次納税義務」が発生する前提条件があるわけです。

今回28年度の改正でその条件が3点変更されたというわけです。

1、事業を譲りうけた特殊関係者の範囲についての変更
2、譲受けた事業の場所が同一場所で継続されているという条件の削除
3、納税義務の責任限度が「譲受財産」から、その価額への変更
という3点です。

ここで第二会社方式で再生をしようとする方に大きな影響があるのは主に
1です。

そんなわけで、国税徴収法施行令条文から
(納税者の特殊関係者の範囲)の項目を記載させていただいたわけです。

今回の1の改正で、
納税者と生計を一にする、または、納税者から受けるお金等で生計を維持しているものに限定されたということです。

一般に中小企業の場合、債権者の手前、新設分割を使うことなどなく、
うやむやなかたちで第二会社を作ることがほとんどなので
他はそれほど注意する必要はないと思われるが、
新会社を作るときにはこの(納税者の特殊関係者の範囲)にだけは細心の注意をはらわないと
後で失敗することになる。それだけにこの国税徴収法施行令第十三条 は熟読しておくべきなのだ。

不動産余力があることによってつぶされる会社

所有不動産があって、そこを使って事業を展開している会社の場合
経営がおもわしくなくなったときに、
その不動産余力があるということはデメリットにもなりえるようになってきた。

不動産余力という場合、債権者の多くが金融機関で
根抵当権が設定され、対応する融資がある場合がこれにあたる。

具体的なイメージで示すとこのような感じになる。
余力のある不動産

この不動産の場合、根抵当権対応のB銀行の融資が2000万円であり、
時価が2800万円だから、売却にかかる費用等を考えなければ800万円の余力があることになる。

この表からわかるように融資の延滞利息が発生している以上、この会社の借入は延滞しており
当然ながら新規融資はありえないことになる。

このような状態で税金等の滞納もある例が多く、交渉先の自治体との条件どおりに納付できなければ
差押がかけられる。
明らかに時価余力がなく不動産を売買しても担保をつけている銀行以外には配当が行かない場合でも
平然と差押がつけられるのだから、余力があるのならいわんやおやである。

しかも税金の納付延滞の場合などは銀行などと違い
不動産の現状、売却以外による回収額によっては競売を待ってくれるなどということはないのだ。

社長が突然死した場合、会社はどうなるのか?

社長が突然死亡した場合
銀行、信金などの金融機関からの借入れが残っていた場合、
その債務はどうなるのだろうか?

子供などの相続人が相続して、その会社の新社長になる場合。
跡継ぎがいなくて従業員がその会社の社長になる場合、
そして、誰も会社の事業を継続しない場合
で答えを書いていこうと思う。

信用保証協会付もプロパーもほぼ同じやり方をするのだが、
下記フローは信用保証協会付の事例で書いておきました。

事業承継する人がいて、その人が相続人でない場合は
その人が 銀行と信用保証協会の適格性の判断を受けて
全債務を債務引き受けする。ただし死亡した前社長の保証契約は、はずさない。
これによって財産を相続した子供なども保証債務を背負う。(重畳的債務引き受け)

そして子供が社長になった場合、相続財産をその子供が一人で相続するなら相続・債務引き受け。
相続財産を受け取る相続人がいるのなら、保全がとれるかどうかで判断して、
重畳的債務引き受けという金融機関側の判断になります。

故人の資産は相続されますが、負債も相続されるので
もしも万一不安があるなら生前に
資産防衛を考えておくべきです。

140327

住宅ローンの返済が遅れるとどうなる?

住宅ローンの返済についてはあまくみている債務者が多い。
返済が遅れても、
「いくらなんでも2-3回の延滞で競売はないだろう」
と思っている方はかなりいるのです。

だが、
2回延滞で致命的、3回延滞で絶望的な状態になるのが一般的と考えていいと思う。

一般的に3回延滞で事故扱い確定、保証会社があれば代位弁済にもちこまれることになる。
もちろん、代位弁済された時点で個人信用は俗に言うブラックとなっている。

仮に代位弁済後、元金と利息全額返済したとしても
ブラック は消えない。

つまり、それで終わりではないのです。

どうしてか、おわかりになるでしょうか?

代位弁済時点で期限の利益喪失があれているので、
そこからは元金と利息以外に、遅延損害金という高金利の債務が突然発生することになるからです。

返済が遅れれば遅れるほどこの遅延損害金は大きく膨らみます。
なにせ、10%以上の高金利ですから。

それから、住宅ローン返済が遅れたまま推移し、遅延回数がふえていけば、自宅の売却を要求されます。
それを拒めば競売に持ち込まれます。
仮に、住宅ローンの対象不動産を売って返済して
住宅ローン融資を全額返済できなかった場合、残金はやはり返済していかなければならないのです。

時価余力のある担保不動産の余力は自社の資産として守れるのか?

時価余力のある担保不動産の余力は自社の資産として守れるのか?
とおおざっぱな質問がけっこうされる。

資産より借入金残高のほうが多い場合
この質問は切実な債務者の悩みとなる。

具体的に言うとこんなケースだ。

時価8,000万円の不動産に根抵当権などの担保対応の債権が5,000万円ある場合
これを売ってあまった3,000万円近くのお金は債務者が自由に使えるかどうか?
という問題だ。

担保不動産の時価余力

結論から先に言うと、
その債務者が期限の利益を喪失していたり、債務者区分で
破綻懸念先だったりすれば、後順位で担保をつけさせてくれと
債権者が言ってきたり、差押・仮差押があったりと自由に出来ない
可能性が高い。

ところが、財務内容が悪くても
この不動産を売却して、あまったお金は資金繰りに充当。
説得力のある再建計画を出し、結果がでてきている状況なら
自由に使えるケースもあるのだ。

ただし、早めに対応したほうがいいにきまっているので。

返済が遅れても利息と元金を遅ればせながら返済していけば、なんとかなると思っている債務者に一言

返済が遅れても利息と元金を遅ればせながら返済していけばなんとかなると思っている債務者は多い。

銀行取引をするときに取り交わす約定書や借入証書の条項を
読んでいない方がほとんどなのだからしょうがない。

多少の延滞ならいざ知らず、3回延滞でそう思い込んでいるとしたら
大きな間違いだ。

3回も返済が延滞すれば、まず期限の利益を失う。
これは内容証明郵便で期限の利益喪失通知というかたちでくるから
わかっている債務者は多いはずだ。

そしてこの期限の利益喪失通知がきた段階で
元金とも利息とも違う 遅延損害金なるものが発生し始める。
しかも悪いことに
その金利は13%とか、18.25%といった高金利なのだ。

この 遅延損害金が発生すると
もはや債務は雪だるま式に増え、返すことができなくなる。

これは会社の借入でも住宅ローンでも同じだ。

だから、返済が遅れだしたらすぐに債権者に相談しに行くべきなのだ。

住宅ローンのケースで上記を図解してみました

住宅ローンの延滞で遅延損害金が発生すると・・・
住宅ローンの延滞で遅延損害金が発生すると・・・