親子ローンの危険性

親子ローンという名称のローンがあります。

親と子供が債務者になり銀行などから借り入れをして
土地を買い家を建てる、または土地・家を買う、家を建てるといったものです。
親の返済能力だけでは不安があったり、
長期のでローン返済をするので、親の年齢を考慮して子供も債務者とするといった場合によく使われます。

親子ローンというからには、
買った不動産に親と子が一緒に住む、あるいは二世帯住宅にする場合が多いのですが、
購入後しばらくは一緒に住むもののその後に別居するということもあります。
最近よくこの種のローンで問題になった事例の謄本を見ると
債務者は親と子なのに、不動産の所有者が親だけになっているケースもあります。

親が事業をしていて事業会社で多額の銀行借入があり、
その担保として親が所有者となっているこの不動産に根抵当権が登記されることもあります。
親と子で所有権持分1/2づつで登記されていれば2人の持分にたいして根抵当権の登記をすればいいのですが、
親が唯一の所有者となっている場合や、親の持分にだけ根抵当権が設定されることは実務上ありえます。
そして、この場合に、
所有不動産の担保設定状況がどうなっているかは、子も知る由もなく、
親の債務の延滞や、差押えなどによって
親と親の会社の債務の問題にまきこまれていくことも多いのです。

今まで知る限りで、最悪だったのは、親が経営する会社の破たんに伴い弁護士の所に相談に行き、
大幅な債務超過の状態を確認した弁護士が親と親の会社に自己破産をすすめ、すぐにそれに従った場合でした。

親の事業会社が無担保で多額の借金があったとすると、
親の破産によって親は借金を免責され楽になるのですが、
この不動産の所有権はいずれ破産管財人の名義となり、競売に移行します。
この状態で親は破産するからいいのですが、
もう一人の債務者・子もこの債務の問題にまきこまれてゆきます。
親の破産は子供の債務の免責までは保証してくれないのです。

上の図の例で言えば、住宅ローンの残高は2,000万円で、時価は3,000万円なのだから、
根抵当権、または差押えが登記される前、すなわち正常債権あるいは、それに近い状態のうちに
不動産を売却すれば1,000万円近くの現金を手に入れることができます。

ところが、この不動産に親が借り入れをするため新たな担保を設定したり、
親の税金の滞納による差押えが来た場合
長男が悲惨な状態となります。

どうしてか? と思うかもしれませんが、
銀行側は一般的に期限の利益喪失日を重要視します。そのためにわざわざ当然喪失なのに、債務者・連帯保証人に内容証明を送り期限の利益喪失日を明確に記します。そして、この期限の利益喪失日こそがブラックリスト登録の根拠となるわけです。

だから、親子ローンを安易に考えてはいけないのです。

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