破たんして第二会社で再生するときに注意すべき「第二次納税義務」

会社が破たんすると、税金の支払いも滞納するケースがきわめて多いです。
大赤字の会社であったとしても消費税の納付はまったなしにやってくるので
赤字の補填にその資金を使っている会社なら、消費税は間違いなく滞納しています。
じっさい破たんした会社の財務や債務、担保を確認すると滞納している税金は消費税、
固定資産税が多いものです。

銀行融資ならリスケで対応できるものの、税金は滞納したら対応策を与えてくれません。
そこで、いったん既存の会社を破たんさせて、第二会社を作る経営者もでてきますが、
第二会社を作るなら慎重にことを運ばないと「第二次納税義務」が課されて
元の木阿弥になってしまいます。
「第二次納税義務」とは税金を滞納した当事者でなくても、
要件を満たせば、滞納した会社などの税金を払わなければならないということで、
国税徴収法の31条~41条に規定されています(注1)

ただ、実務においてはこの第二次納税義務が登場することはあまりありません。
中小企業が破たんして第二会社を作り運営しても
その多くのケースで再び破綻に向かうからです。

そうはいっても滞納会社の不動産などの資産の低額譲渡・無償譲渡や、
事業譲渡においては慎重な対応が必要になります。
国税、地方税ともこれらに関しての裁決事例はそれなりの数があるからです。

こうやってみてくるとわかると思いますが、税金を滞納している場合、
事業を別の会社で何とか維持させようとするときはきわめて綿密な事前準備をしないとうまくいきません。
しかも、これは何年かして始めてわかることなのです。

(注1)
(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
第38条
納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社
(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に
法人税法第六十七条第二項(特定同族会社の特別税率)に規定する会社に該当する会社をいい、
これに類する法人を含む。)で政令で定めるものに事業を譲渡し、
かつ、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合において、その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、
その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、
その譲受人は、譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
ただし、その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。

* 平成28年度税制改正 で改定あり
事業を譲り受けた特殊関係者の範囲の変更
譲り受けた事業の行われる場所が同一である要件の削除
責任の限度が「譲受財産」から「譲受財産の価額」と変更

(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第39条
滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、
その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、
滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡

(担保の目的でする譲渡を除く。)、
債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、
これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、
これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時に
その滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)
で政令で定めるもの(第五十八条第一項(第三者が占有する動産等の差押手続)
及び第百四十二条第二項第二号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)
であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、
その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

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