地方税滞納でおこること2

会社が税金の納付を滞納した場合、どうなっていくかは、国税と地方税で行われることは同じですが、徴収する側が国か地方自治体かによってかなりの違いがでてきます。それは、その情報収集力の違いに起因するものですが、今回は地方税の滞納で起こることについて書いてみます。

まずは、法的根拠と
滞納処分の流れについて復習です。

1、地方税、納付期限経過しても未納 → 滞納処分開始

2、納付期限から20日以内に滞納者に督促状発送

3、滞納者の財産を調査開始 国税徴収法141条

4、督促状発送から数えて10日以内に納付できない場合は、滞納者の財産差押え
地方税法第331条第1項

5、差押えた財産を換価したり、銀行預金などは銀行から取立たりして回収する
国税徴収法94条67条1項

これを実際の運用例で示すとこのようになる(この図は、滞納者と市役所などで、話し合いが行われ、納付していったとしても完納には数年の時間を要する場合、あるいは、滞納者が話し合いと納付をしない場合で書いています)

根拠条文 参照:
地方税法(市町村民税に係る滞納処分)
第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二 滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
国税徴収法(質問及び検査)
第百四十一条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
一 滞納者
二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
三 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
四 滞納者が株主又は出資者である法人
国税徴収法(差し押えた債権の取立)
第六十七条 徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
2 徴収職員は、前項の規定により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
3 徴収職員が第一項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
4 国税通則法第五十五条第一項から第三項まで(納付委託)の規定は、第一項の取立をする場合において、第三債務者が徴収職員に対し、その債権の弁済の委託をしようとするときに準用する。ただし、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。
国税徴収法(公売)
第九十四条 税務署長は、差押財産等を換価するときは、これを公売に付さなければならない。
2 公売は、入札又は競り売りの方法により行わなければならない。

余力のない不動産と、地方税滞納による自治体の差押の実際

あきらかに余力のない不動産を差押えることは、建前上は禁止されている。
これは「無益な差押えの禁止」と言われ 国税徴収法第48条第2項に規定がある。
 (参照:国税庁 第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止)

ところが、じっさいには国税も地方税も滞納の理由で
不動産差押をしてくる。

これを違法ではないとする根拠は平成11年7月19日高松高等裁判所の判決とされている。

じっさい、これらの税金滞納による所有不動産の差押にたいして、
「あきらかに余力がないのだから「無益な差押え」に該当し違法だ」と、
不動産鑑定士の不動産鑑定評価書、担保設定された対応借入金の残高証明書を
そえて異議を申し立てをしても、1ヶ月もすれば却下の書面が届く。

参考までにどんな文面でくるのか、じっさいの書面を明示しておくと下記となる。

「あきらかに余力のない不動産とみなされないので、差押がはいるのでは?」
という質問がたまにあるが、そんなことはなくて、下記のような不動産でも税金滞納による差押は行われている。
最近の例では、時価4,000万円の不動産に銀行の根抵当権が4億円ついていて、借入が2億円ある物件でも固定資産税等の滞納による差押がきていた例もある。

自治体の徴税担当者にしてみれば、地方税法373条1項 の規定により差押を
しなければならないだけの話なのだ。
ちなみに国税についても同様の規定が国税徴収法47条1項にある。
つまり、
「滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき」
地方税法373条1項 には差押さえをしなければいけないわけだ。

もっとも、じっさいにはそんなに早く差押がされるわけではなく、ある程度の時間が経過してから差押となる。

余力のない不動産が差押られると任意売買はほぼ不可能となり、
上図でいうと、先順位のC銀行による競売でしか売却ができなくなる。

ここで、「差押解除をすれば任意売却ができるのではないか?」と思う方もいると思うが
これは実際にはすごく難しいことなのだ。

くわしくは日本経営合理化協会WEBコラム「あなたの会社と資産を守る一手」 などに記載

以下
http://law.e-gov.go.jp/
より抜粋

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地方税法373条  
固定資産税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該固定資産税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

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(差押の要件)

国税徴収法47条  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。

3  第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。

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(超過差押及び無益な差押の禁止)

国税徴収法第48条  
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。

2  差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

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