根抵当権設定、既存根抵当権極度増額で無剰余にすれば不動産は守れるのか?

根抵当権設定、既存根抵当権極度増額で無剰余にすれば不動産は守れるのか?

今でもこんな質問をされることがある。
答えは「守れるときもあれば、守れないときもある」になる。

役所などの差押の場合、先順位の債権額がいくらかなどおかまいなしに差押をしてくる。
実際、このケースはきわめて多い。

「無益な差押え」は禁じれれているが、実務上は高松高裁の判決を理由に
比較的かんたんに差押えられてしまう。

もちろん無剰余であるため役所側は競売にはもちこまないが、役所の差押(多くは税金の滞納によるもの)を理由に
先順位の債権者が競売にしてしまう。

これを回避するためには先順位の債権者との交渉と、合意の上での債務の履行が必要となる。
先順位の債権者である銀行などは経済合理性で動くからここであきらめないほうがいい。

ただし、役所の差押も救済制度はあるものの機能しておらず、
早めに手立てをうったほうがいいことになる。

詳しくは日本経営合理化協会のホームページ「第66話 所有不動産に仮差押・差押をされたら…(3)」
に書いたことがあるので参考願いたい。

平成30年4月 事業承継税制改正は、ほんの一部の会社にしか役立たない

中小企業のうちその3割にあたる127万社で後継者が不在の状態という経済産業省の発表によって、
大廃業時代などと言われるようになった。

それらを阻止する目的で平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わった。
その内容を簡単に書くと、
中小企業であれば、一部を除いてその株式の贈与・相続にかかる税金が100%猶予されるというもの

ただし、期間内の「特例承認計画」を都道府県に提出→税務署への届出
や手続、さまざまな要件があり、これらをクリアして始めて
事業承継に係る株式の後継者への贈与・相続の税負担が実質0円として猶予される

くわしくは、国税庁の事業承継税制特集
あるいは、
【平成30年改正】事業承継税制とは? メリット・デメリットを解説します

で一読願いたいのですが、後藤孝典弁護士のこの↓
Youtube動画の説明がわかりやすいのでご覧いただきたい。

ちなみに後藤先生の著書

制度としてはとてもよくできたものだと思うが、
これを使って得するのは
黒字で資産超過の会社で、かつ銀行借入金の比率が小さい会社の事業承継となる。

事実上、よくて40~50社に1社、最悪500社に1社くらいしか使っても意味がない。
ここらへんの事情については 日本経営合理化協会のコラムに書いたのでご覧いただきたいが、
せっかくいい制度なのに、ほんの一握りの会社にしか使えず、とても残念な気がする。

アメリカの相続税の基礎控除の多さや、企業承継の優遇策なども見習って欲しいと思うのだが。

「平成30年4月1日から信用保証協会付融資制度が変更」の補足

企業再生とは直接関係ないですが、
平成30年4月1日から信用保証協会付融資制度が変更されています
という内容を書きましたが、具体的な金融機関側の対応を保証協会からの説明がされていないようです。

中小企業庁のHPに
2) 信用保証協会と金融機関の連携(詳細資料)(PDF形式:949KB)(平成29年10月31日更新)
というリンクがありご覧いただければわかるように、「中小企業の経営の状況に応じた、
保証付き融資とプロパー融資との適切なリスク分担」の事例で、
保証付き融資とプロパー融資の比率5:5の例が登場していますが、
今後は企業経営と融資銀行の関係性を見ながら、そのような判断・指導を適時にしていくものと思われます。

金融機関の担当者に確認するも、まだそのような例がなく
これからどうなるのかわからない様子でした。

平成30年4月1日から信用保証協会付融資制度が変更されています

平成30年4月1日から信用保証協会付融資制度が変更されています。
資金調達に関することなので、再生とは直接の関係はありませんが、
「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案」
(平成29年6月に成立、平成30年4月1日より施行)
により変更したものです。

概要はこちら、PDF ダウンロード

きわめて簡単に大事な部分だけ書くと、

1、
小規模事業者の持続的発展を支えるため保証割合100%の特別小口保険の付保限度額
1,250万円→2,000万円にする
(創業関連保証も増枠)

2、
企業の容易な資金調達を促しかねない以前の制度では、金融機関の審査能力、管理がおろそかになる
ため、「保証付き融資」と「プロパー融資」を組み合わせる

という趣旨です。
つまり、2についてはある程度の金額以上のものはちゃんと融資金融機関
にも管理させるというものです。

その分、リスク負担が金融機関側に求められるので
大手銀行は、費用対効果を考慮して中小企業向け融資に消極的になるとも考えられます。

詳しくは中小企業庁サイト

試算表を見るとき注意すべきこと

私に役員になってほしいと以前から言っていた会社が、別の会社を買収するに当たり、株式価値を査定するので
決算書を先方に要求したところ、決算書が送られてきた。

そのときはいろいろな事情から買収をあきらめたが、半年以上経過してまた
同じ話が再燃し、試算表を送るという。

そこで、棚卸しは、決算と同じ最終仕入原価法で試算表の日付けでおこなってくださいと
お願いしておいた。

前期決算書で1億の資産が、試算表では1.6億円になっていて、資産が増えた分
利益も異常なくらいに増えていた。だが、よく見ると
資産の増加した部分は棚卸資産で、なんのことはない、儲かっているのではなく、
合計残高試算表では棚卸しをしていないから、こんな数字がでてきたのだと判明。
だから、棚卸しを試算表の日付けでしてくださいとお願いしたのに
言うことはきいてくれそうにない。

「試算表時点では、受注が多くすごく儲かっていて」と
買収される側の社長が言っていたというが、
じつは、試算表日付けでの棚卸しをしていないだけの話なのだ。

合計残高試算表はある程度まで信頼できるが、利益については
棚卸しがされていないのがほとんどなので、完全に信頼はできない。
中小企業の経営者でも財務に強くなければこの程度の理解なのだ。

融資をするときも試算表で判断するときは、その点が考慮される。

試算表では棚卸しに注意すべきだ。

融通手形を銀行はどのようにみつけ、どう対処するのか

銀行からの新規融資もままならず、資金繰りも困難。こんな状況で月末の支払手形の決済をどうするか
と考える債務者のなかで、まれに融通手形に手を出す経営者がいる。

手形割引も融資のうちなのだが、いくらか一般の融資に比べて与信がゆるい部分があり、
不渡りにでもならないかぎり、期日落込で確実に返済されるからそう考える融資マンもいてあたりまえなのだけれど。

融通手形は商取引にもとづかない手形なので割引はできない。
だが、1回だけだったらわからないだろうと考えて割引するのだが、
銀行サイドとしてもそこはチェックしている。
手形にかかる納品書を持ってきてくださいとか、請求書もお願いしますだのということになる。

基本的に融通手形は2社でやる場合、双方の会社が同じような金額の手形を振出して、期日もそろえるものだ。
銀行も1回だけであればわからないが、これを数回繰返した場合、おかしいと気づき始める。

それがどんなふうにわかり、銀行はどんな対処をしてくるかが下の図に書いたものだ。
融通手形は麻薬と同じで常習になるのがほとんどだ。
絶対にするべきではない。

消費税本則課税、税込経理における利益・税金のさじ加減

中小企業の節税というと、締後売上の10日分の翌期繰越とか、法人保険、
4年物の中古車とかの話がでてくる。
実際、節税の本を読むとそれらが書いてあるが、締後売上については売上も仕入も同等の扱いになるため
現実的ではなく。ほかは実際におカネがでていくものなどで、節税してもおカネが残らないことが多い。

今までいくつもの会社の再生や評価をしてきたが、B/S、P/Lだけではわからないが、
決算書すべて(内訳書、別表)、さらには元帳を見ると
うまく税金対策している会社のカラクリがわかることが多くあった。

たとえば消費税本則課税、税込経理の会社だと
決算期には法人税、地方税の予測と、消費税の予測が必要になり
課税金額と利益を調整するためにはさまざまな要因を考えることになる。

たとえば、労務費は消費税の対象外だが、製品の一部を自社で生産するのでなく
外注に出せば消費税はその分減らせる。
1個500円の材料が1万個あるとして、棚卸し金額はそれだけで500万円だが、
それを期末に400円で100個買えば出費は4万円だが、最終仕入原価法採用なら
その分の棚卸し金額は404万円となり、96万円程度の利益は減らせる。

これが、そのままの金額で利益に反映されないのは
消費税本則課税、税込経理だと、消費税の金額がそのまま
決算書の「販売費及び一般管理費」の中の租税公課などに計上され
損金処理されるから、その後に計算される税引前当期純利益がその金額により
多くなったり少なくなったりするからだ。

本に書かれていたり、ネットで見かける節税対策と違い
じっさいの企業財務を拝見すると面白いやりかたに遭遇することもある。

*くわしくは日本経営合理化協会コラムへ書いて、担当編集者に提出

㈱てるみくらぶに見る粉飾決算について

㈱てるみくらぶ社長らが、虚偽の書類を銀行に提出し融資金約2億円をだまし取ったとして詐欺などの疑いで逮捕されたそうだが、
銀行にいたときに粉飾決算をしている企業などいくつも見てきたが、刑事罰に問われる会社もあれば、
見過ごされずおとがめなしの会社もある。

では、この違いとはいったい何なのかということについて書いてみよう。

㈱てるみくらぶは㈱てるみくらぶホールディングスの100%子会社でHDに対して配当をしていたそうだ。
Wikipedia
によると、、2016年9月期決算においても、売上高117億7300万円、営業損失61億100万円、経常損失61億3000万円、純損失61億5600万円、143億2600万円の債務超過のところを、売上高194億8100万円、営業利益1億1800万円、経常利益8800万円、純利益4800万円、4憶6000万円の資産超過と偽っていたことや、2014年9月期から債務超過に陥っていたことを明らかにした(以上 wikipediaより参照
という状況で銀行から2億円あまりの融資を受けたことで詐欺に問われたらしい。

実際のところ、破産の過程で粉飾決算を公言すれば、相手から証拠を出してきた手前、詐欺で訴訟さざるをえなくなると思う。

詐欺といっても、刑法上の詐欺(1)と破産方上のもの(2)があるが、
破産などで粉飾の事実が明らかになり、それを知りながら債務者が銀行融資を受けていた場合などは
銀行から訴訟を起こされる可能性は高くなる。もっともこの状況でも
銀行側が全額回収していれば話は別だが。

では、粉飾決算をしていても訴訟や詐欺に問われないケースとは
どんな場合かと言うと、
債務者側が粉飾の事実を認めない場合、公言しない場合がある。
銀行も財務データの分析から粉飾の疑いをあぶりだすことはできても、
粉飾と確定することは出来ないのだ。
融通手形も同様だが、事実を債務者が認めないことがあげられる。

そして、法的な枠組みの中での破たん、たとえば破産・民事再生など
をしないことが粉飾の事実を隠すことになる。

世の中には、破たんしても何億円、何十億円の資産をもっている人もいる。
不公平なようだがずる賢い人間は生き残っていくものなのだ。

(1)(詐欺)
刑法第二四六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
2、前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第十四章 罰則

(2)
(詐欺破産罪)

第二百六十五条 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。

一 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為

二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為

三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為

四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為

2 前項に規定するもののほか、債務者について破産手続開始の決定がされ、又は保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者を害する目的で、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。