中小企業が企業買収するとき、のれんが銀行融資に及ぼす影響

中小企業が中小企業を買収することも増えてきた。
買収といっても買収する 企業の 「資産-負債=純資産」の金額  で買収するわけでなく、
純資産の何倍もの価格が提示されるのが当たり前だ。
純資産が1億円だとして、買収提示価格は3億円とか4億円とかになっている。

M&A仲介会社のサマリーや、会計事務所の株式価値算定書を読んでも
そんなふうに価格が提示されている。

しかも、買収提示価格はいったいどんな根拠で示されているのかと思うようなものも多い。

当たり前だが企業を売るほうにしてみれば、なるべく高い価格で売りたいと思うからしょうがないのだが、
こんな財務内容で買う奴がいるかと思うような企業でも、思いのほか高値を要求してくる。

しかも、企業買収は資産も引き継ぐが、負債も引き継ぐのだ。
慎重に検討するにこしたことはない。

そこで、中小企業が中小企業を買収する場合のポイントとして、
のれんが銀行融資に与える影響ということで書いてみたい。

いうまでもなく のれん とは 企業結合に関する会計基準31
に書かれているとおりで、企業の買収価格と純資産の差額のことを意味する。

純資産1億円の企業を4億円で購入すれば3億円がのれんという名目で
資産に計上される。
下記図をご覧いただければ、のれんのイメージはわかると思う。
その次の図でソフトバンクの連結財務諸表の資産部分を掲載しておいたが、
のれんはこのように掲載される。


ソフトバンクのような上場の大企業ならまだしも
中小企業の場合、資金調達が銀行融資だけに限られるため
この のれん を銀行側がどう評価するのかというのは
注意すべき点になると思う。

結論から言うと中小企業が買収した事例の多くでは
こののれんの金額がそのまま資産とみなされることはない。

たとえば、純資産1億円の企業を4億円で買収したとして
「その差額3億円は本当に資産とよべるものですか?」 と銀行融資サイドでは考える。

その差額が将来生む利益を反映してのものだといっても、
「本当にそれに見合うだけの利益ですか?」 を考慮される。

潤沢に手元資金がある企業ならまだしも
それらを考慮して企業買収をするだけの価値があるのかどうか、
中小企業なら塾考したほうがいい。

税や社会保険の滞納で自治体等はどのように差押さえる資産を探すのか?(不動産)

会社、またはその経営者の場合、複数の不動産を持つ例は多い。
会社が所有する不動産の場合、事業に必要な不動産であることがほとんどで詳細は決算書で判明する。
ところが会社経営者個人がどんな不動産を所有しているかはわからない場合がある。

たとえば会社の融資はA銀行のみでおこない、社長の自宅以外の不動産を購入するときはB信用金庫にした場合など
A銀行からすれば、その社長所有不動産はみすごされることになる。
もっとも、個人信用情報を取得したり、その不動産が収益不動産で社長がアパート経営をしている場合などは
個人の確定申告から判明してしまうことになる。

また、銀行でいえば最初に融資を行うときに作る調書の聞き取りの中で個人所有不動産を記載してあり、そこで判明する場合もある。

では、自治体等は税金の滞納による差押不動産を探すときにどんなやりかたをするのか?

一般的には、市町村であれば自治体内部・役所内部でもっている情報から着手する
同じ市内に不動産を複数持っているかは、固定資産税を調べればわかる。
そして不動産登記簿謄本を取得することになる。
このさいに共同担保目録付で謄本を取得する。
下記申請書の赤囲みの部分をチェックするのだ。

同一債権の担保として、複数不動産の上に設定された抵当権(あるいは根抵当権)
のことを共同担保というが、これは担保強化につながる点から
このような共同担保で担保設定されることが一般的なのだ。

そうやって取得した不動産登記簿謄本から銀行には
どの不動産とどの不動産が共同担保になっているかがわかるようになっている。
下記の不動産担保目録のように、同じ住所の土地・建物はもちろんのこと、異なる住所の不動産も
共同担保としてその所在が判明してしまう。

だからといって所有者が同じとはかぎらないが、少なくとも共同担保目録に記載された
不動産登記簿謄本を調べれば、関連でどんな不動産があり、
同一所有者の不動産はどれとどれかなどが、数珠繋ぎに判明することになる。
借入金・リース契約の場合、社長の個人保証が前提となるため
この共同担保目録取得は効果的な隠れ財産のあぶり出し方法になる。

もしも、経営者個人の財産を銀行や自治体、債権者に隠しておきたければ
別会社を作りその会社の所有で不動産をまったく異なる銀行ローンで購入したり、
所有者を妻名義にしたりということになる。

会社が倒産したときに、代表者の個人信用情報照会を取得しない
銀行も多いし、自治体はそれさえ取得できないから、
会社が破たんしてもそうやって個人財産は守られているケースも多いのだ。

税や社会保険の滞納で自治体等はどのように差押さえる資産を探すのか?

まず、税金や社会保険料が納期限までに納付されない場合、国であれ自治体であれ
管轄する役所は督促を行い、交渉し、財産調査を行い差押を行うこととなる。

根拠条文は下記ですが、
増加する税金滞納の状況と徴収担当人員の減少から
督促状が届いて10日後に差押があったなんていう規定どうりの話は聞いた事がない。
市役所などだと、徴収担当者が一人で数百件の滞納案件をかかえ、さらに新規が発生して
財産調査もままならないのが実情だから、督促状、交渉のあいまをみて
財産がどこにあるのかを確認する。

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(差押の要件)
国税徴収法第四十七条  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、
当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)
の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
参照元条文

(市町村民税に係る滞納処分)
地方税法第三百三十一条  市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、
滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
参照元条文
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では、具体的に滞納者の財産調査はどのように行われているのか、
書いてみたい。

まず、国税が滞納した場合の滞納者の財産調査は
2001年に国税庁に導入されたKSKシステムによる情報(たれこみされた情報まで管理されている)や
各国税局でもっている情報などかなり膨大な情報が税務署内にすでにあり、本気になれば高い精度で情報が把握されているので、
また、別の機会に書くことにして、
今回は市町村などの自治体の財産調査についてに限定する。

市町村などの自治体が税金滞納者への対応は督促、話し合いがまず第一歩となる。
そして、らちがあかない場合に始めて財産調査、差押と進むことになる。

では、その財産調査において市町村の徴収担当者はどのようなことを行うかだが、
まず、市役所なら市役所内にある情報から手をつけることになる。
それと同時に近隣の銀行支店へ文書で照会書をだし、滞納者の預金の状況を確認することとなる。

つまり、財産調査といっても不動産と預金が中心になることは理解できるだろう。

たとえば、固定資産税が滞納すれば、その不動産があることがわかり、それを即差押することになる。
不動産に銀行の根抵当権が目一杯ついていて借入金がそれと同じくらいあるから
その不動産を売却しても滞納した税金の回収にはまわらない、いわゆる「無益な差押であり、それは禁止されている」と言っても
平成11年7月19日高松高裁判決があるので通用しない(詳細は別ページに記載

さらに徴収担当者は不動産登記簿謄本を取得し、共同担保目録から、それとは別の所有不動産をわりだし、さらに差押えることになる。
一般的に銀行は融資先が担保不足の場合、複数不動産に共同担保を設定するので、共同担保目録を見れば所有不動産が判明するのだ。

差押えた不動産が換価され配当がなくても、滞納者にプレッシャーを与える意味で、あるいは交渉の場につかせ支払をさせる意味で
これは重要になる。

預金調査だが、銀行から回答が来た回答書をもとに狙いをつけていくことになる。
もっとも、滞納者が法人であれば、決算書の預貯金等の内訳書からかんたんにどこに預金があるかわかるので
作業は難しくはない。

そして徴収担当者は、銀行に出向き滞納者の預金の動きをじかに見て
差押日を判断することになる。

徴収担当者が調査をするべき根拠条文は国税徴収法141条、142条にあり
それを根拠にすべきという地方税法の規定によって決められている。

これらの預金で当座預金を差押るときは徴収担当者のレベルによっては
いくつか注意を要している。
支払手形の決済日の手形交換時間後に差押をする銀行支店に徴収担当者が到着しても
預金が決済後なのでもぬけのからになっていることがあるからだ。

また逆に、手形決済資金を差押えることで手形不渡、銀行取引停止処分などになりかねず、
滞納金の回収どころか、その会社をいっきに倒産させることになりかねないからだ。

ここらへんの判断は徴収担当者にとっては難しい。

ちなみに徴収担当者がネットをとうして銀行の預金調査を依頼し、ネットをとうして
回答。差押を行うという銀行もでてきている。

差押をうけても、企業はすぐに死ぬわけではない。
じっさいにそれでも平然と事業を続けている企業もある。
いろいろな回避策もあるがここで書くべきものではないし、
抜本的な解決にはならない。

ただ、彼ら徴収担当者も仕事であり
税金を払うのは国民の義務なのだ。
それゆえに、督促を受ける前にこちらから分納についての相談をしたほうのが得策だと思う。

__________

国税徴収法
(質問及び検査)

第百四十一条  
徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、
又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては
認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)
の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
一  滞納者

二  滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者

三  滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者

四  滞納者が株主又は出資者である法人

(捜索の権限及び方法)

第百四十二条  徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。

2  徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、
第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
一  滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。

二  滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。

3  徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、
又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

参照元条文

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消費税を考えないと、会社は破たんに向かう

平成27年度版国税庁統計年報を読むと、国税新規滞納において消費税の割合が大きく
かつ、年々増加しているのがわかる。
まずは下記をご覧いただきたい。


 出典元:第141回平成27年度版国税庁統計年報  PDF

一般的に言って今まで再生を相談される企業の多くが、決算書を見ると
買掛金(未払金・未払費用)の内訳書に、過去1-3年くらいの消費税滞納の金額と内訳が記載されている。
もちろん、この決算書を見た銀行は借入金返済が延滞していなくても融資をストップする。
これは租税債権優先の原則により融資ができなくなるものだが、所有不動産に根抵当権が設定されていれば
担保部分は銀行が優先回収する。

上記の図表を見ればわかるように、国税新規滞納において消費税の割合は著しく高く
増加している。

消費税対策というものが困難だからという意味もあるが、
利益をだしていようがいまいが、免税事業者以外の企業に課税されるという側面に滞納は起因している。

赤字の企業は税務署に支払うべき消費税を運転資金に流用してしまい支払ができなくなってしまうし、
黒字でも固定資産をかなりもたないと事業展開できない企業は、結果として
流動資産、とりわけ現金預金の比率が低くなり、資金ショートして
消費税納付分の資金に手をつける。または、借入に依存してその結果として何年かたつと
借入金が増加し返済が困難となり、消費税が後で払えなくなる
という過程をたどる。

総じて、もともとの企業や業種による利益構造や財務バランスに問題があり、
それを経営する側が工夫をしないことにも起因する。
しかし、業種によってはこれを克服するハードルはきわめて高く、破たんへ向かうことになる。

もちろん一般的に知られている消費税対策、たとえば人件費を外注でまかなうとか
をしても限界があり、また効果の高い消費税対策なるものもあまり存在しない。

では、どうしたらいいのだろうか?

じつはそう考え始めることが出発点となる。

例えば、かなり利益率が高い会社があって、その売上が5千万円以下で
今回課税事業者になるにあたり原則課税か簡易課税を悩む場合
みなし仕入率に比べて仕入率が高いか、低いか、言い換えれば利益率が高いかどうかで判断する。
これを考慮すると消費税の課税額が大きく異なることに気づく。

下記がその例だ。

 
これを、事業部門によって利益率が大きく異なるからといって、会社分割で利用し、税負担を変えようとすると
さまざまな税法の条文が絡んでくることになるが・・・。

参考:国税庁No.6505 簡易課税制度

ただでさえ、
平成31年10月1日からの予定の消費税率変更
その後35年10月からの予定のインボイス制度で
中小企業経営はさらに厳しくなっていくだろう。消費税を滞納する企業も増加の一途をたどるはずだ。

真剣に悩んで考えることでしか事業は再生できない。

返済が延滞すると突然現れる隠れた負債

住宅建設会社からの依頼で、住宅ローンに関するDVDを作るために
元NHK岡山の女子アナが進行をして、ホテル椿山荘東京で撮影をしたことがある。
だいぶ昔のことだが、その中で「住宅ローンの返済ができなくなったら」というテーマで
お話をした。

住宅ローンももちろんそうだが、銀行借入全般で
返済が滞納した場合、
1、担保不動産を売却して返済する
2、銀行に返済条件の変更をお願いする
というのが一般的な解決策だと思う。

しかもこれらは、なるべく早く行ったほうがいい。

なぜなら、銀行借入の返済が遅れてそのままにしておくと
期限の利益喪失という内容証明郵便が届くことになる。

それは、今までの割賦返済(分割返済)はその時点で
無効となり、全額一括で返済してくださいという意味合いをもつからだ。

そこまでだったら、担保不動産を売却すればことがすむと思う方もいるだろうが、
問題は、その期限の利益喪失から
突然、隠れた債務、しかもかなり高利の債務が出現するのだ。
それが遅延損害金というもので、年利十%は超えたものなのだ。

これを住宅ローンの滞納を例に図解するとこのようになる。

返済が遅れそうならなるべく早く債権者・銀行に相談すべきなのだ。

余力のない不動産と、地方税滞納による自治体の差押の実際

あきらかに余力のない不動産を差押えることは、建前上は禁止されている。
これは「無益な差押えの禁止」と言われ 国税徴収法第48条第2項に規定がある。
 (参照:国税庁 第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止)

ところが、じっさいには国税も地方税も滞納の理由で
不動産差押をしてくる。

これを違法ではないとする根拠は平成11年7月19日高松高等裁判所の判決とされている。

じっさい、これらの税金滞納による所有不動産の差押にたいして、
「あきらかに余力がないのだから「無益な差押え」に該当し違法だ」と、
不動産鑑定士の不動産鑑定評価書、担保設定された対応借入金の残高証明書を
そえて異議を申し立てをしても、1ヶ月もすれば却下の書面が届く。

参考までにどんな文面でくるのか、じっさいの書面を明示しておくと下記となる。

「あきらかに余力のない不動産とみなされないので、差押がはいるのでは?」
という質問がたまにあるが、そんなことはなくて、下記のような不動産でも税金滞納による差押は行われている。
最近の例では、時価4,000万円の不動産に銀行の根抵当権が4億円ついていて、借入が2億円ある物件でも固定資産税等の滞納による差押がきていた例もある。

自治体の徴税担当者にしてみれば、地方税法373条1項 の規定により差押を
しなければならないだけの話なのだ。
ちなみに国税についても同様の規定が国税徴収法47条1項にある。
つまり、
「滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき」
地方税法373条1項 には差押さえをしなければいけないわけだ。

もっとも、じっさいにはそんなに早く差押がされるわけではなく、ある程度の時間が経過してから差押となる。

余力のない不動産が差押られると任意売買はほぼ不可能となり、
上図でいうと、先順位のC銀行による競売でしか売却ができなくなる。

ここで、「差押解除をすれば任意売却ができるのではないか?」と思う方もいると思うが
これは実際にはすごく難しいことなのだ。

くわしくは日本経営合理化協会WEBコラム「あなたの会社と資産を守る一手」 などに記載

以下
http://law.e-gov.go.jp/
より抜粋

____________________________

地方税法373条  
固定資産税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該固定資産税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

____________________________

(差押の要件)

国税徴収法47条  
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。

3  第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。

____________________________

(超過差押及び無益な差押の禁止)

国税徴収法第48条  
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。

2  差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

____________________________

架空売上による粉飾決算(黒字化)がばれない事例とは

銀行融資をうけるために架空売上を計上して黒字化するという会社を
融資を担当していた頃はみかけることがあった。

銀行の融資担当が架空売上の計上を見抜けるかといえば
そうとも言い切れない。毎年決算書しかもらわなければわからないままということもありえる。

決算書の売掛金の内訳書に毎期、同じ会社で同じ金額が記載されていれば
それが回収できない売掛金であることは推定できるが、だからといって架空売上と言い切ることもできない。
貸し倒れ債権とも考えられるからだ。

一般的に赤字の会社が黒字にみせかけるためには、架空売上を計上するか架空在庫を計上する
のだが、要は資産を増やすということに行き着く。
しかもこの資産は実体のない資産、不良資産といえる。
もちろんその他の資産を増やすことでも黒字化はできるが、架空資産または
それに準じるものになるわけだし、その他の仕訳科目が大きく増加すれば
目立ちやすい。

これら架空資産を見つけるためには
元帳を見せてもらい、あやしい売掛金の未入金経過の記録を確認し、
在庫をじっさいに確認、納品書の仕入れ単価から棚卸のしなおしを行えば
「架空」が露見することになる。

ところが、どうやってもばれないだろうという
売上というのも存在する。

IT関係でソフトをWeb上で個人に売る会社の場合
カード決済ではなく振込みで
支払ってもらうようにすれば、架空の売上かどうかさえわからない。
自社開発のソフトなら仕入などから調べることもできず
架空であることがきわめてばれにくくなるのだ。

他社の滞納した税を払わせられる「第二次納税義務」の改正

28年度税制改正で、事業譲渡した特殊関係者の納税義務について
改正があったので、企業再生に関係があり、記載しておこうと思う。
この納税義務は「第二次納税義務」と言われ国税徴収法38条が根拠条文となるが、
問題点は38条の中にある国税徴収法施行令13条1項(納税者の特殊関係者の範囲)
にある。

なお、このことについては日本経営合理化協会の私のコラム
 「あなたの会社と資産を守る一手」   に
掘り下げて書いたので、いずれアップされるものと思う。
それから、宣伝ついでに書くと幻冬舎オンラインで私が昔書いた本の一部が掲載されるらしい。

では、本題
まずは国税徴収法施行令条文から

(納税者の特殊関係者の範囲)
国税徴収法施行令第十三条  法第三十八条 本文(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
に規定する生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  納税者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次条第二項第一号において同じ。)
その他の親族で、納税者と生計を一にし、又は納税者から受ける金銭その他の財産により生計を維持しているもの

二  前号に掲げる者以外の納税者の使用人その他の個人で、納税者から受ける特別の金銭その他の財産により生計を維持しているもの

三  納税者に特別の金銭その他の財産を提供してその生計を維持させている個人(第一号に掲げる者を除く。)

四  納税者が法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)第六十七条第二項 (特定同族会社の特別税率)
に規定する会社に該当する会社(以下この項において「被支配会社」という。)である場合には、
その判定の基礎となつた株主又は社員である個人及びその者と前三号のいずれかに該当する関係がある個人

五  納税者を判定の基礎として被支配会社に該当する会社

六  納税者が被支配会社である場合において、その判定の基礎となつた株主又は社員
(これらの者と第一号から第三号までに該当する関係がある個人及びこれらの者を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社を含む。)
の全部又は一部を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社

2  法第三十八条 の規定を適用する場合において、前項各号に掲げる者であるかどうかの判定は、納税者がその事業を譲渡した時の現況による。

以上 参照元 http://law.e-gov.go.jp/

細かく書くとやたら難しい話になってしまうので
かんたんに書きます。

経営する会社が破たんして、税金が滞納した場合、第二会社を作って元の会社をもぬけの殻にすることは
よくあること。
ところがそんなことをされると税務署や自治体は旧会社の滞納した税金は徴収できなくなってしまうので、新会社にも旧会社の
納税義務を引き継がせようというのがこの「第二次納税義務」

そんなことをされたら、第二会社を作った意味合いがなくなると思い、あせった方も
いるのではないでしょうか。

でも、少しは安心してください。
「第二次納税義務」が発生する前提条件があるわけです。

今回28年度の改正でその条件が3点変更されたというわけです。

1、事業を譲りうけた特殊関係者の範囲についての変更
2、譲受けた事業の場所が同一場所で継続されているという条件の削除
3、納税義務の責任限度が「譲受財産」から、その価額への変更
という3点です。

ここで第二会社方式で再生をしようとする方に大きな影響があるのは主に
1です。

そんなわけで、国税徴収法施行令条文から
(納税者の特殊関係者の範囲)の項目を記載させていただいたわけです。

今回の1の改正で、
納税者と生計を一にする、または、納税者から受けるお金等で生計を維持しているものに限定されたということです。

一般に中小企業の場合、債権者の手前、新設分割を使うことなどなく、
うやむやなかたちで第二会社を作ることがほとんどなので
他はそれほど注意する必要はないと思われるが、
新会社を作るときにはこの(納税者の特殊関係者の範囲)にだけは細心の注意をはらわないと
後で失敗することになる。それだけにこの国税徴収法施行令第十三条 は熟読しておくべきなのだ。

銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても 生きている企業

銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても生きている企業にはいくつかのパターンがある。
じっさい、この状態を数年も維持している企業もかなりある。
しかも、第二会社ではなく一度は破たんした会社で生き続けているのだから、
常識のある方々にしてみればありえないこととなる。

今でこそ再生させ黒字化し、資金繰りに悩まないようにした企業の完全復活に仕事の重点を移しているが、
数年前まではこの手の企業からの再生依頼が8割を越していたわけだから
「銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても生きている企業」についてはとても詳しくなった。

もちろん、この手の企業がその行く末を社会的な枠組みの中にある方々、弁護士であったり
公的機関であったりに任せてしまえば民事再生や破産に行き着き
すぐに結論がでてしまう。

もちろん、その選択肢もありえるのだが、なかにはリスクを抱えながらも
生きられる企業というものもあるのだ。

では、こんな状態でも、企業が生きられるかどうかの判断基準についていくつか書いてみたい。

1、まずは、国税、とりわけ消費税の滞納がないことが必須となる。

国税庁の統計では消費税の新規滞納金額は増加し続けているようだが、
統計年報( 国税徴収・国税滞納・還付金 )参照 

消費税が滞納したままで事業を継続していくのはいばらの道以上のことなのだ。
まず、税務署と分割納付の交渉をしても短期間、1年以内での完全納付を要求されることや、
次年度の消費税の中間納付が追い討ちをかけること。
さらには、条件履行が出来ない場合、所有不動産があれば差押がかけられること。それによって
担保を設定している銀行が競売を選択してしまうことなどがあげられる。
さらには税務署はKSKシステム(国税総合管理システム)による情報をはじめ、質量ともに膨大な企業情報を
もっているがゆえに本気になれば資産をおさえることはかんたんなのだ。

2、当座比率の高い事業をもっていて、その売上の割合が高いこと。

当座比率が高ければ資金繰りに苦労しなくてすみ、仮に返済の滞納があっても
事業の継続はできるのだ。

3、そして3つ目が経営者の柔軟性と逃げない前向きな姿勢。

4、事業を継続していく中で、これからいくつもの経験したことのない問題にぶちあたる。
これは法的手続ではないので、「海図なき航海」とも言え、弁護士や税理士などの解答がすでに与えられている世界とは
異なるので、このてのリスクを管理できるかどうかになると思う。

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再販された私のこの本↓
の副題が、「破産しても2億円の資産と3000万円の年収を守った!」中小企業専門の再生屋さんが明かす奇跡の裏テクニック!
なのだが、この「破産しても2億円の資産と3000万円の年収を守った!」ケースにおいては、
私が関与したときには主債務者はすでに破産していたので、
別除権をもつ銀行への一括返済を長期分割にしてもらう再生案をたて、
その他数億円の債権者には破産で回収をあきらめてもらう方法をとった。
もちろん、破産管財人・弁護士の承諾があってのことだが
そんな奇跡のようなこともできてしまうのだ。
今では、この方法をおこなってもうまくはいかないだろうが、
逃げずに前向きに立ち向かえば解決策はあるものなのだと思う。

オンデマンド (ペーパーバック)で2017/3/1に再販開始
オンデマンド (ペーパーバック)はデジタル本ではなくて、
紙の本です。

不動産余力があることによってつぶされる会社

所有不動産があって、そこを使って事業を展開している会社の場合
経営がおもわしくなくなったときに、
その不動産余力があるということはデメリットにもなりえるようになってきた。

不動産余力という場合、債権者の多くが金融機関で
根抵当権が設定され、対応する融資がある場合がこれにあたる。

具体的なイメージで示すとこのような感じになる。
余力のある不動産

この不動産の場合、根抵当権対応のB銀行の融資が2000万円であり、
時価が2800万円だから、売却にかかる費用等を考えなければ800万円の余力があることになる。

この表からわかるように融資の延滞利息が発生している以上、この会社の借入は延滞しており
当然ながら新規融資はありえないことになる。

このような状態で税金等の滞納もある例が多く、交渉先の自治体との条件どおりに納付できなければ
差押がかけられる。
明らかに時価余力がなく不動産を売買しても担保をつけている銀行以外には配当が行かない場合でも
平然と差押がつけられるのだから、余力があるのならいわんやおやである。

しかも税金の納付延滞の場合などは銀行などと違い
不動産の現状、売却以外による回収額によっては競売を待ってくれるなどということはないのだ。