消費税を考えないと、会社は破たんに向かう
平成27年度版国税庁統計年報を読むと、国税新規滞納において消費税の割合が大きく
かつ、年々増加しているのがわかる。
まずは下記をご覧いただきたい。
一般的に言って今まで再生を相談される企業の多くが、決算書を見ると
買掛金(未払金・未払費用)の内訳書に、過去1-3年くらいの消費税滞納の金額と内訳が記載されている。
もちろん、この決算書を見た銀行は借入金返済が延滞していなくても融資をストップする。
これは租税債権優先の原則により融資ができなくなるものだが、所有不動産に根抵当権が設定されていれば
担保部分は銀行が優先回収する。
上記の図表を見ればわかるように、国税新規滞納において消費税の割合は著しく高く
増加している。
消費税対策というものが困難だからという意味もあるが、
利益をだしていようがいまいが、免税事業者以外の企業に課税されるという側面に滞納は起因している。
赤字の企業は税務署に支払うべき消費税を運転資金に流用してしまい支払ができなくなってしまうし、
黒字でも固定資産をかなりもたないと事業展開できない企業は、結果として
流動資産、とりわけ現金預金の比率が低くなり、資金ショートして
消費税納付分の資金に手をつける。または、借入に依存してその結果として何年かたつと
借入金が増加し返済が困難となり、消費税が後で払えなくなる
という過程をたどる。
総じて、もともとの企業や業種による利益構造や財務バランスに問題があり、
それを経営する側が工夫をしないことにも起因する。
しかし、業種によってはこれを克服するハードルはきわめて高く、破たんへ向かうことになる。
もちろん一般的に知られている消費税対策、たとえば人件費を外注でまかなうとか
をしても限界があり、また効果の高い消費税対策なるものもあまり存在しない。
では、どうしたらいいのだろうか?
じつはそう考え始めることが出発点となる。
例えば、かなり利益率が高い会社があって、その売上が5千万円以下で
今回課税事業者になるにあたり原則課税か簡易課税を悩む場合
みなし仕入率に比べて仕入率が高いか、低いか、言い換えれば利益率が高いかどうかで判断する。
これを考慮すると消費税の課税額が大きく異なることに気づく。
下記がその例だ。
これを、事業部門によって利益率が大きく異なるからといって、会社分割で利用し、税負担を変えようとすると
さまざまな税法の条文が絡んでくることになるが・・・。
ただでさえ、
平成31年10月1日からの予定の消費税率変更
その後35年10月からの予定のインボイス制度で
中小企業経営はさらに厳しくなっていくだろう。消費税を滞納する企業も増加の一途をたどるはずだ。
真剣に悩んで考えることでしか事業は再生できない。