こんな「仮差押え」は、絶対やってはいけない

債権もないのに、破たんしたばかりの会社の資産に
仮差押えをかけてくる、あわよくばそこからカネをむしりとろうという
ことが昔ありましたが、残念ながら、その破たんしたばかりの会社の社長のほうが一枚上手で
詐欺師が逃げた例がありました。でも、まっとうな世界の話ではないので・・・。

ところで、

前回、預金に対する仮差押えについて書きましたが、
「こんな仮差押えは絶対やってはいけない」 というものがあります。

たとえば債務者の所有不動産の謄本を見ても
住宅ローンを銀行から借りていて、抵当権の設定日から考えると
融資されたばかり。当然、ローン残高は設定額に近く
時価余力がないはず、したがって、不動産に仮差押えをかけてもおカネはもらえず意味がない。

では、そのローンを借りている銀行の預金口座にはいくらかの預金がおいてあるだろうから、
その預金に仮差押えをかけたらどうだろう? などと考える人もいるかもしれません。

しかし、それをやった場合、仮差押えをおこなった債権者には最悪の結末が訪れます。

債務者Aが住宅ローンを借りている銀行の支店に仮差押えが届く

その銀行は債務者Aの住宅ローンに関して期限の利益を喪失させる

債務者Aは破たんし、仮差押えをおこなった債権者を恨み、
二度と払わなくなる。

こんな悪循環が生まれます。

刺し違える覚悟でもない限り、
こんな仮差押えは絶対やってはいけません。

支払わない債務者に対するもっとも効率的な仮差押えとは?

企業再生家は債務者の側にたつことでも、債権者の側にたつことでも
その力を発揮することができる。

そこで、

今回は支払督促に応じない債務者を、支払わせるようにする
仮差押の効率的な方法
について書いてみようと思います。

まず、債務者の状況を調べることから始まるのが債権回収だけれど、
不動産、預金、債権のどこに、いつ仮差押えをすれば効率的なのか?
がポイントになるわけです。

債務者が一番いやがるものにたいして仮差押えをするのが一番効率的といえる。

抵当権がめいっぱい設定されていて、対応借入れ残も
かなりあるとき、つまり、時価余力のない不動産に
仮差押えは、実質できない。

給料債権に差押えをしても
民事執行法第152条 で、給与の全額の仮差押えは不可能になります。

そこで、預金に対する仮差押えが有効になります。

まず、債務者の勤務先がわかっているなら、毎月、何日に、どの銀行に給与振込されているのかを調べるわけですが、
債務者の勤務先の会社の求職情報をネットで調べると、給料日がわかります。
会社によっては給与振込は取引先であるひとつの銀行と決まっているところもあるので、
銀行も調べやすいと思います。

「支点はどうするのか?」・・・そう、銀行がわかっても債務者が口座を保有している支店がわからなければ
仮差押えは難しいです。(支店名の要否:東京地裁民事執行センター、最高裁 平成23年9月20日決定

支点は、現在、過去の住所地の近くの支店で調べられ、
あるいは会社の取引銀行の支店名でわりだすことも可能です。

そして、給与の振込日が判明しているので、第三債務者である銀行へ配達日指定をして仮差押えをすれば
いいだけなのです。

もちろん、このやり方だと債権額に満つるまで仮差押えが可能です。

参照:

*(差押禁止債権)
民事執行法第152条1.
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分
(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、
差し押さえてはならない。
一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2.退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3.債権者が前条第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)
を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

消費税が滞納し始めて、最終的に倒産する会社

直接的な原因ではないが
「消費税が滞納し始めて、最終的に倒産する会社」というものが存在する。

大口の売掛金が焦げ付き、資金繰りに窮して
借入れで対応するも売上、利益とも減少し、
結果として消費税が未払いのままとなるケースなどだ。

だから、消費税が直接の倒産理由とは言いにくいのが特徴なのだ。

事実、倒産する会社の決算書を見ると、消費税が3期分くらい滞納しているケースは多い。

会社が赤字でもこの消費税は支払わなければならないので
本則課税or簡易課税の選択や、消費税を意識した経営などが求められるのだが、
顧問税理士がしっかりしていてもそこまでできている会社はほとんどない。

ただ利益を稼げばいいというだけでなく、
利益を最終的にこのレンジにおさめて、法人税・消費税の税負担を
この程度にする
という目標をもって経営をしている会社があるが、
そこには世に知られることのないような工夫が多く見受けられる。

儲けを出せるビジネスモデルがまずは前提条件だが
創意工夫、改善がなければ、儲けたとしてもキャッシュが残らず
倒産に至るということもありえるのだ。