DESの使い方は慎重に

DESはDebt Equity Swapの略で、会社の債務を株式に転換することだが、
この使い方には注意がいる。

どんなときのためにDESを使うかと言うと
まず、(1)財務内容をよく見せたいとき
そして、(2)オーナー社長から会社への貸付金が大きいとき、貸付金を株式にすることで
個人の相続財産を減らし、事業承継者である相続人に承継させやすくするため
(もちろん株式の評価額や持ち株の譲渡などは事前に対策するとして)
の2つが多いと思う。

日本経営合理化協会のコラムに詳しく書いたので掲載されたらそちらをお読みいただきたいのだが、
前記(1)のケースが下記の図のBのB/Sで使われ、
(2)のケースがA、Bどちらでも使われる。もっともAのB/Sでは大幅な債務超過、大きな繰越損失をかかえている
ことが考えられるため誰も事業承継者にならず、オーナー社長の死亡時に相続放棄という可能性が大きいので
やはりBのB/Sでのみ使われると考えたほうがよい。

仮にAのB/SでDESを使うとすれば、オーナー社長の個人財産が何十億円であり、相続を見越した場合だが、
そんな例ではとっくにこの会社を清算しているはずなのでAのケースというのは考えずらい。

ところで、DESの使い方にはなぜ注意が必要かと言うと
DESによる債務免除益 → 税負担が発生するケースがあるからだ。

2016年にある会社でDESを考えた際、この税負担がネックになり
単純な増資 → 返済充当
したことがある。

オーナー社長から会社への貸付金1億円をDESで資本にしたとして、
そのうちの8,000万円が会社の資産や利益では回収できないものとされた場合、
会社にはその金額での債務免除益が生まれることとなり、繰越控除される欠損金および今期損失額がそれ以下なら
DESによる税負担が発生することになるのです。

それゆえにDESの扱いは税理士と相談のうえ慎重に扱うことが必要です。

平成30年4月 事業承継税制改正は、ほんの一部の会社にしか役立たない

中小企業のうちその3割にあたる127万社で後継者が不在の状態という経済産業省の発表によって、
大廃業時代などと言われるようになった。

それらを阻止する目的で平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わった。
その内容を簡単に書くと、
中小企業であれば、一部を除いてその株式の贈与・相続にかかる税金が100%猶予されるというもの

ただし、期間内の「特例承認計画」を都道府県に提出→税務署への届出
や手続、さまざまな要件があり、これらをクリアして始めて
事業承継に係る株式の後継者への贈与・相続の税負担が実質0円として猶予される

くわしくは、国税庁の事業承継税制特集
あるいは、
【平成30年改正】事業承継税制とは? メリット・デメリットを解説します

で一読願いたいのですが、後藤孝典弁護士のこの↓
Youtube動画の説明がわかりやすいのでご覧いただきたい。

ちなみに後藤先生の著書

制度としてはとてもよくできたものだと思うが、
これを使って得するのは
黒字で資産超過の会社で、かつ銀行借入金の比率が小さい会社の事業承継となる。

事実上、よくて40~50社に1社、最悪500社に1社くらいしか使っても意味がない。
ここらへんの事情については 日本経営合理化協会のコラムに書いたのでご覧いただきたいが、
せっかくいい制度なのに、ほんの一握りの会社にしか使えず、とても残念な気がする。

アメリカの相続税の基礎控除の多さや、企業承継の優遇策なども見習って欲しいと思うのだが。