架空売上による粉飾決算(黒字化)がばれない事例とは

銀行融資をうけるために架空売上を計上して黒字化するという会社を
融資を担当していた頃はみかけることがあった。

銀行の融資担当が架空売上の計上を見抜けるかといえば
そうとも言い切れない。毎年決算書しかもらわなければわからないままということもありえる。

決算書の売掛金の内訳書に毎期、同じ会社で同じ金額が記載されていれば
それが回収できない売掛金であることは推定できるが、だからといって架空売上と言い切ることもできない。
貸し倒れ債権とも考えられるからだ。

一般的に赤字の会社が黒字にみせかけるためには、架空売上を計上するか架空在庫を計上する
のだが、要は資産を増やすということに行き着く。
しかもこの資産は実体のない資産、不良資産といえる。
もちろんその他の資産を増やすことでも黒字化はできるが、架空資産または
それに準じるものになるわけだし、その他の仕訳科目が大きく増加すれば
目立ちやすい。

これら架空資産を見つけるためには
元帳を見せてもらい、あやしい売掛金の未入金経過の記録を確認し、
在庫をじっさいに確認、納品書の仕入れ単価から棚卸のしなおしを行えば
「架空」が露見することになる。

ところが、どうやってもばれないだろうという
売上というのも存在する。

IT関係でソフトをWeb上で個人に売る会社の場合
カード決済ではなく振込みで
支払ってもらうようにすれば、架空の売上かどうかさえわからない。
自社開発のソフトなら仕入などから調べることもできず
架空であることがきわめてばれにくくなるのだ。

他社の滞納した税を払わせられる「第二次納税義務」の改正

28年度税制改正で、事業譲渡した特殊関係者の納税義務について
改正があったので、企業再生に関係があり、記載しておこうと思う。
この納税義務は「第二次納税義務」と言われ国税徴収法38条が根拠条文となるが、
問題点は38条の中にある国税徴収法施行令13条1項(納税者の特殊関係者の範囲)
にある。

なお、このことについては日本経営合理化協会の私のコラム
 「あなたの会社と資産を守る一手」   に
掘り下げて書いたので、いずれアップされるものと思う。
それから、宣伝ついでに書くと幻冬舎オンラインで私が昔書いた本の一部が掲載されるらしい。

では、本題
まずは国税徴収法施行令条文から

(納税者の特殊関係者の範囲)
国税徴収法施行令第十三条  法第三十八条 本文(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
に規定する生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  納税者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次条第二項第一号において同じ。)
その他の親族で、納税者と生計を一にし、又は納税者から受ける金銭その他の財産により生計を維持しているもの

二  前号に掲げる者以外の納税者の使用人その他の個人で、納税者から受ける特別の金銭その他の財産により生計を維持しているもの

三  納税者に特別の金銭その他の財産を提供してその生計を維持させている個人(第一号に掲げる者を除く。)

四  納税者が法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)第六十七条第二項 (特定同族会社の特別税率)
に規定する会社に該当する会社(以下この項において「被支配会社」という。)である場合には、
その判定の基礎となつた株主又は社員である個人及びその者と前三号のいずれかに該当する関係がある個人

五  納税者を判定の基礎として被支配会社に該当する会社

六  納税者が被支配会社である場合において、その判定の基礎となつた株主又は社員
(これらの者と第一号から第三号までに該当する関係がある個人及びこれらの者を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社を含む。)
の全部又は一部を判定の基礎として被支配会社に該当する他の会社

2  法第三十八条 の規定を適用する場合において、前項各号に掲げる者であるかどうかの判定は、納税者がその事業を譲渡した時の現況による。

以上 参照元 http://law.e-gov.go.jp/

細かく書くとやたら難しい話になってしまうので
かんたんに書きます。

経営する会社が破たんして、税金が滞納した場合、第二会社を作って元の会社をもぬけの殻にすることは
よくあること。
ところがそんなことをされると税務署や自治体は旧会社の滞納した税金は徴収できなくなってしまうので、新会社にも旧会社の
納税義務を引き継がせようというのがこの「第二次納税義務」

そんなことをされたら、第二会社を作った意味合いがなくなると思い、あせった方も
いるのではないでしょうか。

でも、少しは安心してください。
「第二次納税義務」が発生する前提条件があるわけです。

今回28年度の改正でその条件が3点変更されたというわけです。

1、事業を譲りうけた特殊関係者の範囲についての変更
2、譲受けた事業の場所が同一場所で継続されているという条件の削除
3、納税義務の責任限度が「譲受財産」から、その価額への変更
という3点です。

ここで第二会社方式で再生をしようとする方に大きな影響があるのは主に
1です。

そんなわけで、国税徴収法施行令条文から
(納税者の特殊関係者の範囲)の項目を記載させていただいたわけです。

今回の1の改正で、
納税者と生計を一にする、または、納税者から受けるお金等で生計を維持しているものに限定されたということです。

一般に中小企業の場合、債権者の手前、新設分割を使うことなどなく、
うやむやなかたちで第二会社を作ることがほとんどなので
他はそれほど注意する必要はないと思われるが、
新会社を作るときにはこの(納税者の特殊関係者の範囲)にだけは細心の注意をはらわないと
後で失敗することになる。それだけにこの国税徴収法施行令第十三条 は熟読しておくべきなのだ。

銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても 生きている企業

銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても生きている企業にはいくつかのパターンがある。
じっさい、この状態を数年も維持している企業もかなりある。
しかも、第二会社ではなく一度は破たんした会社で生き続けているのだから、
常識のある方々にしてみればありえないこととなる。

今でこそ再生させ黒字化し、資金繰りに悩まないようにした企業の完全復活に仕事の重点を移しているが、
数年前まではこの手の企業からの再生依頼が8割を越していたわけだから
「銀行融資の返済が延滞し、税金が滞納しても生きている企業」についてはとても詳しくなった。

もちろん、この手の企業がその行く末を社会的な枠組みの中にある方々、弁護士であったり
公的機関であったりに任せてしまえば民事再生や破産に行き着き
すぐに結論がでてしまう。

もちろん、その選択肢もありえるのだが、なかにはリスクを抱えながらも
生きられる企業というものもあるのだ。

では、こんな状態でも、企業が生きられるかどうかの判断基準についていくつか書いてみたい。

1、まずは、国税、とりわけ消費税の滞納がないことが必須となる。

国税庁の統計では消費税の新規滞納金額は増加し続けているようだが、
統計年報( 国税徴収・国税滞納・還付金 )参照 

消費税が滞納したままで事業を継続していくのはいばらの道以上のことなのだ。
まず、税務署と分割納付の交渉をしても短期間、1年以内での完全納付を要求されることや、
次年度の消費税の中間納付が追い討ちをかけること。
さらには、条件履行が出来ない場合、所有不動産があれば差押がかけられること。それによって
担保を設定している銀行が競売を選択してしまうことなどがあげられる。
さらには税務署はKSKシステム(国税総合管理システム)による情報をはじめ、質量ともに膨大な企業情報を
もっているがゆえに本気になれば資産をおさえることはかんたんなのだ。

2、当座比率の高い事業をもっていて、その売上の割合が高いこと。

当座比率が高ければ資金繰りに苦労しなくてすみ、仮に返済の滞納があっても
事業の継続はできるのだ。

3、そして3つ目が経営者の柔軟性と逃げない前向きな姿勢。

4、事業を継続していく中で、これからいくつもの経験したことのない問題にぶちあたる。
これは法的手続ではないので、「海図なき航海」とも言え、弁護士や税理士などの解答がすでに与えられている世界とは
異なるので、このてのリスクを管理できるかどうかになると思う。

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再販された私のこの本↓
の副題が、「破産しても2億円の資産と3000万円の年収を守った!」中小企業専門の再生屋さんが明かす奇跡の裏テクニック!
なのだが、この「破産しても2億円の資産と3000万円の年収を守った!」ケースにおいては、
私が関与したときには主債務者はすでに破産していたので、
別除権をもつ銀行への一括返済を長期分割にしてもらう再生案をたて、
その他数億円の債権者には破産で回収をあきらめてもらう方法をとった。
もちろん、破産管財人・弁護士の承諾があってのことだが
そんな奇跡のようなこともできてしまうのだ。
今では、この方法をおこなってもうまくはいかないだろうが、
逃げずに前向きに立ち向かえば解決策はあるものなのだと思う。

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紙の本です。

不動産余力があることによってつぶされる会社

所有不動産があって、そこを使って事業を展開している会社の場合
経営がおもわしくなくなったときに、
その不動産余力があるということはデメリットにもなりえるようになってきた。

不動産余力という場合、債権者の多くが金融機関で
根抵当権が設定され、対応する融資がある場合がこれにあたる。

具体的なイメージで示すとこのような感じになる。
余力のある不動産

この不動産の場合、根抵当権対応のB銀行の融資が2000万円であり、
時価が2800万円だから、売却にかかる費用等を考えなければ800万円の余力があることになる。

この表からわかるように融資の延滞利息が発生している以上、この会社の借入は延滞しており
当然ながら新規融資はありえないことになる。

このような状態で税金等の滞納もある例が多く、交渉先の自治体との条件どおりに納付できなければ
差押がかけられる。
明らかに時価余力がなく不動産を売買しても担保をつけている銀行以外には配当が行かない場合でも
平然と差押がつけられるのだから、余力があるのならいわんやおやである。

しかも税金の納付延滞の場合などは銀行などと違い
不動産の現状、売却以外による回収額によっては競売を待ってくれるなどということはないのだ。

地方自治体相手に「無益な差押え」にもとづく異議申立をしても何の効果もない

「無益な差押」とは簡単に言えば、余力がない不動産に差押さえをしても
何も回収できないので、差押さえしてはいけませんということだ。
これはいずれも法で規定されている。国税徴収法第48条2項がそれなのだが、
地方税においてもそれに従う(地方税法第373条7項)ということになっている。

国税徴収法第48条2項
第四十八条
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2  差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、
地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

ところが、破たんした企業の実情をみると
余力のない不動産に地方自治体などから差押さえはばんばん設定されている。

時価1億円の不動産で、根抵当権10億円、債務10億円
といった状況でも差押は公然とされる。

法に違反しているのだが、地方自治体の考えは違う。
高松高裁 平成11年7月19日判決で「必ずしも違法とはいえない」というものがあるからだ。

地方自治体などから無益な差押さえがあったら、異議を申し立ててみると
ほとんど例外なく棄却という文書が1か月後に送られてくる。

じっさいの文書は下記のようなもので、全国ほとんどの自治体で
文言は同じになる。高松高裁の判決がその根拠となる。

これを行政訴訟で争っても無意味で
不動産の差押解除は自治体によって対応は違うが
基本的に全納が前提となっている。

税を管理できなければ会社経営は破たんする

おおざっぱにいって、人件費を除く仕入・外注、一般経費と、売上の差額が
消費税の負担に大きく影響する。

黒字という前提でいえば、その差が大きければ大きいほど消費税負担は増加する。

人件費の負担が大きい企業で、その差が大きい場合には
消費税負担は莫大なものになる。

逆に、人件費負担が小さく、利益が少ししかでていない企業の場合
消費税の負担は小さくなる。

法人税や地方税は消費税とは違い、純粋に利益というもので
税額を判断できるのでわかりやすい。

法人税・地方税と消費税の負担を考えながら
どこで設備投資をして、どこでいくらで仕入れるかを考えながら
経営している社長は少ない。

よく言われるが、設備投資で節税をするというが、
機械などの固定資産を買えば、償却資産税が毎年かかることになる。

それらのバランスを考えながら経営していくと
ある程度、税負担をコントロールできることとなる。

これらにさらにキャッシュの要素を加味して考えると
じつはいろいろなアイデアがあるのだ。

手形の正しい裏書

約束手形を支払いに使う場合、その扱いに慣れていればよいが、そうでなければ苦労することも多い。
下記が手形の見本であり、①が表、②が裏にあたる。
手形はその支払期日に資金化されるので、その資金をすぐほしい場合は
割引することになる。

また、これを受け取った場合、さらに支払の方法として使うこともできる。これが「回し手形」だ。
さらに、満期まで待って資金を受け取るために銀行に取立てにだすこともできる。

いずれに使用してもいいのだが、今回は「回し手形」について書いてみたい。

回し手形の場合、
裏書の連続といって、下記で言うと
株式会社ABCが振り出した手形を株式会社DEFが受け取り、株式会社DEFは支払のために株式会社GHIに渡していてちゃんと連続していることが必要となる。

この裏書が連続しないと支払ってはくれなくなる。

そこで、この裏書の最後・株式会社DEFが 屋号もない個人名だったらどうなるだろうか?

基本的に裏書が連続していれば誰が受け取っていようと問題はないのだが、
商売上に使われるものであるため、受け取る側は法人または個人事業主なら問題ない。
ところが受取人に 屋号もない個人名がきた場合、これはその人とそおの一つ前の事業者との間の
金融を意味する。
つまり、個人が融資の担保に手形を取得したとか、手形割引したとかなのだ。

もし、金融でもないというのならそれは表に出せない事情を含んでいることになる。

 

1


2

地方税滞納で無剰余不動産に差押がついた場合、差押解除はできるのか?

「地方税滞納で無剰余不動産に差押がついた場合、差押解除はできるのか?」というタイトルで
書き始めたが、結論から言ってしまおう。

「できないと思ってください」・・・これが結論だ。

無剰余不動産 とは下記の例のような不動産で
差押されてても 余力がないんだから無意味で、そこから
回収できないというものだ。

都道府県、市区町村などによる無剰余不動産への差押は、
地方税法第373条7項、国税徴収法第48条2項により禁止されているが、この条文をくつがえす
高裁の判決を引用して、都道府県、市区町村はそれに対する
異議申し立てを棄却してくる。

これについては日本経営合理化協会のWEBの
坂田薫「債務者のルール」に書いてあるので参考にされたい。

下記の様な例でも異議申し立ては棄却になるのだから、この制度に期待しないほうがいい。

1

消費税を払えなくなると会社はどうなるのか?

消費税を支払えなくなった場合、まず税務署から督促の通知が届く。
たとえば、12月決算の会社で決算後消費税が滞納した場合、3月に
督促となる。

そして、税務署に行くのだが、持参するものを指定される。
会社の預金通帳、売掛金の明細などを持参することになる。

預金通帳ではどこの銀行のどこの支店に
何という会社から入金があるか、売掛金の明細から
どんな債権をもっているのかがこくめいに記録されていく。

そして、肝心の「延滞した消費税を1年以内にどう支払うのか?」が問いただされる。
これにまともに答えられない場合、厳しく問い詰められることになる。

消費税を滞納するくらいだから資金繰りがかなり厳しく
1年で完納できるわけなどないはずだから、
ここでゴネると、
行き先は2つに分かれる。

1つは、債権回収できる資産がない場合・・・この場合は、次回訪問で
少額分割支払を認めて、支払用紙を送ってくる。

もう1つは、債権回収できる資産がある場合・・・たとえば、初回訪問時に聞かれた
売掛金などから、この販売先に差押さえをかければ回収できると考えた場合などで、
この場合は税務署は、売掛金や預金の仮差押を平気で行ってくる。

この点に関しては「うちは大丈夫だ」などとたかをくくらないほうがいい。
そして、その次には運転資金がなくなり、会社はいっきに倒産する。

消費税とは預かり金なのだから。

消費税で倒産することは少ないが、消費税滞納で倒産することは多い

あくまでも中小企業にとってという話だが、
3千万円程度の年商の中小企業でも、百万円程度の消費税を納付している
企業は多い。

本則課税を選んで、消費税をなるべく納付しないようにすれば、設備投資が増えて
借入が増加し、その返済のために資金繰りが悪化したり、
仕入れが増えて、借入れ増大、資金繰り悪化、利益増加で、法人税納税額の増加という悪循環にはまる
企業もある。

じっさい倒産した企業の決算をみれば
何期にもわたって消費税を滞納しているところは多い。
他の税金の督促に比べれば消費税はほんの少しおおらかだが、
このことが、経営者を苦しめることになる。

日本経営合理化協会のサイトで「債務者のルール」という
ものを書いていて、最近この話題を書き始めた
ので興味ある方はどうぞ。